高校に入ってからギターを始め、友人達とバンドを組んだ。そう、部活は軽音楽部だった。
ほぼ毎日ギターを担いで登校した。レスポールのコピーモデルで少し重かったが、自転車や電車で運ぶということよりも“どこに置いとくか？”でいつも悩んでいた。邪魔だし、倒れやすい。ハードケースだとさらに重い、が、その前にハードケースなど高くて買えなかった…。
特に困ったのは授業中だ。教室にギターが入るようなロッカーなんてなかった。
けいおん！では部室に置いてたようだが、そもそも軽音楽部にバンドが一つしかないという事は有り得ない、というくらいウチの軽音には人が居た（４，５０人くらい？）ので、全員がそうしていたら部室が楽器で埋まってしまう○凹（部室は鍵も掛からないし、近くに置いときたかったという事情もある。）
結局は教室の後ろに立てかけておいた、のだが、これがまた安定性が悪い(-_-;)。自分でも倒してしまう程だったし、他人には邪魔以外の何物でもなかったろう。
と小さく思い悩みながら過ごしていた…あれは２年の夏頃だったか、はたと閃いた！
教壇の下に置こう！と。
先生が日々立って授業をする教壇、黒板の足元に静かに横たわっている教壇の構造は、底が開いていて中は空洞、フタのない箱をひっくり返したようだ、ということを掃除の時に発見したのだった。
高さは２０cmもなかったが、ギターは寝かせれば余裕で置ける！丈夫でたわみもしないんだからこれは解らない！行ける！
幸いにも、教壇をひっくり返す掃除するのは月に一度くらい。その日その時間帯には置かないようにするか先に回収すればいいだけだ。
朝、駅を降りて小走りで教室に行って、人の少ない教室でこっそりと教壇を上げてギターを置いた。持ち上げると意外に軽いし、20cmくらい持ち上げて滑らせ、音もなく戻すので、隠している、いや、しまっている一部始終も、前から２列目くらいからでも気づかない（￣ー+￣）
最初の授業はちょっと緊張したが、当然のように先生も気づかない。そして幸運な事に、入れるとこを見ていたクラスメートも２，３人はいたのだが、先生はもちろん周りの人に話さずにいてくれた。月一の掃除の時に取り忘れて、邪魔だぞーという事もあったのだが、その時は事無きを得た。
来る日も来る日も教壇を持ち上げ、そっと出し入れする日々。いやあ快適だった。少しだけだけどw。そして全く気づかない先生達を騙しているかと思うとかなり痛快だった。
しかし、そんな日々は突然終わりが来た…。
３月のある日、放課後に教壇を持ち上げた途端、ない！ギターがない！(￣○￣)
そこへ後ろから「○○君、（担任の）△△先生が職員室で呼んでるよ」との声が。
バレたーーー(￣○￣(￣○￣)バレて職員室に持ち去れてしまったのだった。いわゆる“取り上げ”なのかと思ったが、野球部員からバットを取り上げるようなもの、そんな事はないだろう…いやでも説教を食って反省文も書かされるんじゃぁ…と、重い小走りで職員室へ向かった……
二年の時の担任の先生は厳しい、そう厳しい先生だったが、冗談が好きでよく笑わせられたり、笑わせていた記憶もある。しかしその時は厳しさだけしか思い浮かんで来なかった。
職員室で先生の前に立つと開口一番「いやぁ、気が付かなかった。全く気が付かなかった」と言い放たれた。明らかに余計な手間でイライラしてはいたが、半分近くは笑っていた（と思うw）。そもそも「怒られている」という雰囲気ではなかった。
先生は続けた「明日、入学試験があるだろう。ウチのクラスの教室を試験会場として使うことになっているんだが、そういう教室は不正がないか、前日に私服の警官が来て隅々まで調べることになっているんだ」と。
うわぁ、そういうことか…それはダメだな…とんだ御迷惑を(m´>ω<｀)m。
そのあと何か言われて言い訳したような気がしないでもないが、最後は「こういうこともあるから、二度と置かないように」と言われ、トボトボとかついで帰った。
後になって考えると、警察官とおそらくは立ち会いした先生とで教室を調べていて教壇を上げたらどーーーんとギターが出て来て怒ったろうし呆れただろう。他の先生が立ち会いしていて、自分は他の用事がある中で急遽呼び出された可能性もある、もしかしたら警察官からw…先生どうもすいませんでしたm(_ _)m
それからは元通り教室の後ろに立てかけて置いていたんだったなあ。
ふと思い出して書き始めたのだが、今ググると、教壇下を収納スペースとして使っていた人はいたみたいだが、何があるか解らないのでやめた方がいいだろうw
とはいえ、教室の後ろに置かれたら邪魔だよな…。